【特集】ユッコが語る!最新アルバム『カラフル・ドロップス』全解説!!

ユッコ・ミラー

 

・アルバムコンセプト

ユッコ これまでに出したアルバムは、カヴァー曲がメインだったのですが、今回はオリジナル曲がメインで、全9曲中8曲が自分の作曲です。ちょうどコロナ禍で時間ができたこともあり、曲を書き溜めていたのですが、並べてみるとジャンルも様々だし、それぞれに色合いの異なる曲が揃いました。それらの曲をドロップにたとえて、『カラフル・ドロップス』とアルバムタイトルを付けました。

・M01:Smoky Light

作曲する際には頭の中からメロディが降ってくる感じなのですが、この時、フト浮かんだのが刑事ドラマやスパイ映画のイメージで、ハードボイルドな曲が出来上がりました。そして、暗がりで煙が充満する中、光が浮かび上がっている状況がカッコいいと思って名付けたのが「Smoky Light」のタイトルです。
この曲はMVも撮っていて、女スパイみたいな衣裳を着て銃を構えたり、撃ったりしたのも楽しかったですね。ドラマ仕立てで、ディレクターさんから「向こうに敵がいるような眼をして!」と指示を受けて「難しいっ!」と思いつつ(笑)、自分なりに頑張りました。出来上がった映像でサマになっているとしたら、ディレクターさんやカメラマンさんの素晴らしい手腕のおかげです(笑)。

・M02:New Experience

メロディも複雑だし、変拍子も入ってるし、とにかく難しい曲です。今回は敢えてそういった曲作りに挑戦してみました。作った自分が言うのも何ですけれど(笑)、本当に難しい曲で、事前にかなり練習した上でレコーディングに臨みました。

・M03:Be Myself

曲名の「Be Myself」は「自分らしくある」という意味ですが、去年くらいから自分の中で「Be Myself」を大事にしたい、という思いが強くなってきました。でも、それって実はなかなか難しいことなんですよ。たとえば「自分はこうだ」とか「これが好き」と思っていても、「ええ~それ、カッコ悪いよ」と言われて、その意見に流されてしまうようなこともあるし、そうなると、どんどん自分らしさがなくなってきてしまって。それで「自分の世界ってなんだろう?」と考えたときに、自分が好きなことで回りを固めていけば、どれだけ幸せかなと思ったのが作曲した動機です。曲のイメージとしてはカルフォルニアです。NYには行ったことがあるのですが、ロスとかカルフォニアはまだ行ったことがなくて。何かそういう憧れを投影して作った感じですね。

・M04:IKUSA

これは電子管楽器「EWI(イーウィ)」のために書いた曲です。EWIはシンセならではの音色がサックスとまた違う味わいがあって、ビブラートをかけたりもできるし、豊かな表現が可能な楽器です。元々は、EWIの新しいモデルのPVに出演することになり、曲も自分で書いたのですが、今回はアルバムためにアレンジし直したロングバージョンを収録しています。元は短い中で盛り上げていたのですが、今回はジワジワと盛り上げていくので、その辺りは是非聴いていただければと思います。

・M05:Hapi Hapi

高校生の頃から渡辺貞夫さんをめっちゃ聴いてたんですけど、渡辺さんには「California Shower」という、とてもステキな曲あるんです。こんなにも聴いた人が幸せな気持ちになれる曲はないだろうなと思わせるとても暖かい1曲で、そこからインスパイアされて作ったのがこの曲になります。ラテンのノリと、聴いてくれた人がスッと入れるようなメロで、みんながハッピーになってもらえたらいいなって。タイトルは自分なりのハッピーの最上級で「Hapi Hapi」としました。

・M06:Stream

ここ2年あまりのコロナ禍で、おばあちゃんが亡くなったり、お世話になったドラマーの村上 “ポンタ” 秀一さんと、身近な人たちの訃報に接しました……。これまで、そういう経験をあまりしてこなかったのですが、楽しかったその時間はもう二度と戻って来ないんですよね。世の中は変わり続けていて、時間も常に流れている。タイトルの「Stream」は、そういった「流れ」を意味する単語で、その悲しい時の流れを曲として表してみました。

・M07:Deadline Pressure

『芸能人格付けチェック』によく出ているメンバーで「プラスチックメタル」というバンドを組んでいるんですよ。そこで各人2曲ずつ作曲することになったのですが、それが、ちょうどめちゃくちゃ忙しい時期と重なってしまって……(苦笑)。とにかく作曲する時間がなくて、「〆切ヤバイ!」と思って。それで〆切へのプレッシャーをテーマにして作曲しました。なので、「Deadline Pressure」のタイトルなんです(笑)。

・M08:Fly Me To The Moon

今回のアルバムでは唯一の既成曲です。ロマンティックで大好きな曲なんですけど、一般には『新世紀エヴァンゲリオン』のEDテーマ曲としてよく知られていると思います。今回、ジャズを知らない人にも興味を持ってもらいたいと思って選曲しました。それと、アルバムでは初めてのヴォーカル曲です。普段、サックスを吹いていて楽しいんですけど、去年くらいから歌を歌いたい欲が芽生えてきて、YOUTUBEにも「#歌ってみた」でいくつかアップしてみたら、歌う方も楽しくなってきちゃって(笑)。サックスで表現する延長として歌うのもアリじゃないかなって。それで今回、アルバムに入れることにしました。ただ、サックスではパッと思ったことがすぐに表現できるけど、自分で歌うとなると、思うようにいかないんですよね。色々なバージョンを聴き比べて、歌いまわしや発音を勉強したり、それこそ音が響くお風呂で歌ってみたり(笑)。我流ですけど、練習に練習を重ねてレコーディングに臨みました。

・M09:For You

 これまで活動して行く中、大勢の人に支えられてここまで辿り着きました。本当に多くの人に応援していただき、だからこそ今も活動している自分がいます。コロナ禍で色々と考えさせられる機会が多かったのですが、私を支えてくれた不特定多数の「You」へ感謝の意味を込めてこの曲を作りました。また、作曲した際にアルトサックスより合っていると思い、このアルバムでは唯一、ソノプラノサックスで演奏しています。

・レコーディングについて

 いつも一緒にライブをやっている敏腕の若手ミュージシャンに加えて、今回は須藤満さん(bass)、岡田治郎さん(bass)、則竹裕之さん(drums)とレジェンドの方々に入っていただき、「自分が作った曲がこんなにもステキな曲になるんだ!」と感動に包まれてのレコーディングでした。どの曲も本当に素晴らしい演奏で、とてもじゃないけど、自分一人でできるものではないですし、皆さんからお力をいただき、アルバムを無事に完成させることができました。

・完成したアルバムについて

毎回アルバムが完成する度に「今回のアルバムが最高!」と思うのですが、今は毎日のように『カラフル・ドロップス』が最高だと思っています(笑)。とにかく色々な曲が入っているので、その時々の気分で「今日は明るい気分になりたいからこの曲を聴いてみよう」とか、ドロップの缶から「今日はこの色の飴を舐めよう」と取り出すみたいな気軽な気持ちで聴いてもらえれば嬉しいです。本当に毎日聴いても飽きさせないアルバムになったと思います。

・ユッコ・ミラーNew Album”Colorful Drops”リリースツアー

 行く先々でたくさんの人に聴いてもらえる喜びもあるし、その土地ならではの空気や人との出会い、さらには美味しいものを食べたり(笑)、私自身、とても楽しみにしています。ツアーでアルバム曲を中心に取り上げて行くつもりで、もちろんアルバムでも聴いてもらいたいのですが、ライブでの演奏はひとつとして同じものはないんですよね。是非、ライブならではの生の音を体感しに足を運んでください!