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【辰巳真理恵】2018年11月26日＠サントリーホールブルーローズコンサート・レポート

辰巳真理恵

ソプラノ歌手、辰巳真理恵がCDデビュー記念リサイタルを開催。
父・辰巳琢郎もみまもる中、アルバム『Ba,Be,Bi,Bo,Bu』収録楽曲を披露。

数々の舞台で活躍し、テレビ・ラジオにもその活躍の場を広げているソプラノ歌手、辰巳真理恵。

今年９月にアルバム『Ba,Be,Bi,Bo,Bu（よみ : バ・ベ・ビ・ボ・ブュ）』で待望のメジャーデビューを果たしたが、そのアルバム発売記念リサイタルを26日、クラシックの殿堂サントリーホール　ブルーローズで開催した。

初のリサイタル開催とあって会場には多くのファンが詰めかけ満員御礼。客席には、父である辰巳琢郎、リサイタル当日そしてCDジャケットでも着用したドレス、シェーナ・ドゥーノのデザイナー、神田うのもみまもる中、ハウステンボス　世界フラワー・ガーデンショーTV-CMにも起用され好評を博した『すみれ』でリサイタルの幕をあけた。

歌唱曲は、これまでの辰巳真理恵を辿るような構成。出身校でもある日本女子大学付属中学・高校で愛唱されていた『私を泣かせてください』の英語バージョン(O Load! Correct Me)や、昨年出演したオペラ『ラインの妖精』（東京オペラ・プロデュース公演）でタイトルロールである妖精を演じ、歌唱したアリア『全ては闇に包まれ、昼が退き夜になる』等、過去の公演でも披露してきた楽曲はさらに磨きをかけられ、歌声は豊かにホールに響き渡った。

その可憐な歌声を支えるのは、CD録音時の演奏と、編曲も数曲担当しているウィーン在住のピアニスト斉藤雅昭。ウィーンの歌い手達からも絶大な信頼を得る彼が、この公演のために駆け付けた。また、より気軽にクラシックを楽しんでもらいたい！という辰巳真理恵のアイディアからドラマ「のだめカンタービレ」にも出演したフランス出身のマルチタレント、ジリ・ヴァンソンがMCを務め、楽曲解説や聴きどころなどをやさしくエスコートした。

休憩を挟んでの第2部は、第70回ジュネーブ国際音楽コンクールにて優勝を果たした、作曲家薮田翔一の作品から。百人一首、そして辰巳真理恵本人も好きな詩人のひとりにあげる中原中也の詩に曲をつけた『生い立ちの歌』『道修山夜曲』など印象的なメロディーに聴衆も惹きこまれた。

そしていよいよ、アルバムのタイトル楽曲でもある『バ・ベ・ビ・ボ・ブュ』。ピアノの影から取り出したのは、なんともキュートな猫耳！というのも、この楽曲はプーランク作曲の長靴を履いた猫をモチーフにした、わずか 30 秒あまりの小品。その短い楽曲中にも、表情をくるくると変化させながら、気まぐれで自由な猫を見事に演じたのは、おそらく父親譲りの演技力からなのではないだろうか？

本編最後の楽曲は、父の出演舞台を観て医学部志望から音大へと志望を180度転換することになった運命のナンバー、歌劇『キャンディード』より『着飾って浮かれましょ』。繊細なテクニック、高い演技力が必要な難曲だが、歌い終わると同時に、客席盛大な拍手とブラーヴィが会場に沸き起こった。

終演に際し、観客、そして両親へこれまでの感謝をし、今後の飛躍を誓った辰巳真理恵。公演を通じてその未来に確かな予感を抱いた人も多かったのではないだろうか。

当日解禁のうれしいニュースも発表された。アルバム『Ba,Be,Bi,Bo,Bu』から2曲目のMV『カッチーニのアヴェ・マリア』が公開された。多数の本物のキャンドルを使用した幻想的な雰囲気に満ちたMVに仕上がっており、冬の季節にもぴったりな映像になっているのでチェックして欲しい。