ロートレックの絵の中の人物の歌声が聴ける!三菱一号館美術館で開幕する 『1894 Visions ルドン、ロートレック展』とのコラボレーションCD発売

鈴木舞

開館10周年となる三菱一号館美術館の最後を飾る『1894 Visions ルドン、ロートレック展』がいよいよ10月24日に開幕する。三菱一号館が丸の内初のオフィスビルとして竣工した年である1894年、そして三菱一号館美術館のコレクションの中核をなす画家であるルドンとトゥールーズ=ロートレックらの作品に焦点を当て開催される注目の美術展だ。
この注目の美術展とのコラボレーションCDとして、キングレコードから『世紀末の鼓動~1894 Visions』が発売された。
実は、この1894年は西洋音楽の歴史上でもエポックメイキングな年となっている。印象主義音楽の最初の作品とされる、ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》が作曲され・初演された年なのだ。この作品はフランス象徴派の代表的詩人・マラルメの詩《半獣神の午後》にインスピレーションをうけて生まれ、19世紀末から鼓動しはじめた音楽・文学を象徴する1作となっている。
本曲を皮切りに20世紀にかけて生まれた音楽の移り変わりを描き出す楽曲たちがずらり並ぶ。印象派音楽の作家の代表とされるドビュッシー、ラヴェルはもちろん、文学キャバレー「ル・シャ・ノワール(黒猫)」でピアノを弾く仕事をしていたサティ、そして、初の女性職業作曲家とされるセシル・シャミナード、同じく同年代に活躍した女性作曲家で、24歳で夭折したリリ・ブーランジェ…幅広い作曲家を楽しむことができる。
劇場やサロンのみならず、市民が通い楽しんだキャバレー、カフェで盛んに演奏されたシャンソンもその時代を映す鏡として収録されている。この美術展のメインアートとして使用されているロートレックが描いた《アリスティド・ブリュアン 彼のキャバレーにて》。アリスティド・ブリュアンは赤いマフラーに黒い帽子とコート姿で、時絶大なる人気を誇ったシンガー・ソングライター。彼の自作自演音源《白いバラ》が収録されていることにも注目したい。100年前に生きた人物の貴重な記録となっている。
本作品の収録楽曲は、『1894 Visions ルドン、ロートレック展』にて無料で利用できる音声ガイド内にも使用されている。ぜひ美術展に足を運び、その時代の空気を目と耳でも感じ取ってもらいたい。

美術展
開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展
会期:2020年10月24日~2021年1月17日)※展示替えあり
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/visions/

発売商品情報
世紀末の鼓動~1894 Visions
商品番号 KICC-1552

定価:¥2,500+税

(収録楽曲)
1894Visions~世紀末の鼓動と印象主義音楽~
1. ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 (1894)
2. ドビュッシー:パンの笛~ビリティスの三つの歌 (1898)
3. マスネ:タイスの瞑想曲 (1894)
4. ラヴェル:水の戯れ (1901)
5. ラヴェル:愛に死せる王女のためのバラード (1893)
6. フォーレ:子守唄 (1879?)
7. サティ:ジムノペディ 第1番〈ドビュッシー編曲管弦楽版〉 (1888)
8. サティ:ジュ・トゥ・ヴー (1900)
9. シャミナード:星のセレナーデ (1911)
10. ブーランジェ:ノクターン (1911)
11. プーランク:愛の小径 (1940)
パリの愛とシャンソン
12. さくらんぼの実る頃 Le Temps des cerises (1866)
13. ふたりの恋人 J’ai deux amours (1930)
14. 聞かせてよ愛の言葉を Parlez-moi d’amour (1930)
アリスティド・ブリュアンの自作自演
15. 白いバラ Rose blanche (1909) 
M-15  Licensed by EPM Musique
※(  )内は作曲年

飯森親範(指揮) 東京交響楽団[1]ゲスティ・シルヴィア(ソプラノ) ハンス・ドゥンケル(ピアノ)[2]鈴木 舞(ヴァイオリン) 實川 風(ピアノ)[3, 6, 10]ジークフリート・シュテッキヒト(ピアノ)[4]ドミニク・ヴィス(カウンターテナー) 藤井一興(ピアノ)[5]大井剛史(指揮) 東京交響楽団[7]熊本マリ (ピアノ)[8]小出信也(フルート) 青木紀子(ピアノ)[9]中木健二(チェロ) 松本 望(ピアノ)[11]パトリック・ヌジェ[12]リザ・ミカエル[13]マガリ・ボンフィス[14]アリスティド・ブリュアン[15]

※M-15歴史的音源を使用しているためお聴き苦しい点がございます。

(主な参加アーティスト)
鈴木 舞 (Mai Suzuki ,Violin)

2007年チャイコフスキー国際コンクール最年少セミファイナリスト。2013年ヴァーツラフ・フムル国際ヴァイオリンコンクール(クロアチア)で第1位、オーケストラ賞。オルフェウス室内楽コンクール(スイス)第1位。2016年スピヴァコフ国際ヴァイオリンコンクール(ロシア)第2位。

東京藝術大学を経て、ローザンヌとザルツブルグ、ミュンヘンで研鑽を重ねる。フィンランド・クオピオ交響楽団と共演したショスタコーヴィチ第1番、チェコ・モラヴィアフィルとのモーツァルト第5番、クロアチア・ザグレブフィルとのメンデルスゾーン、スイス・ローザンヌ室内管とのプロコフィエフ第2番などが好評を得ている。
2012年度シャネル・ピグマリオン・デイズ・アーティスト、2012年-2013年度文化庁芸術家在外派遣研修員、2015年度、公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション奨学生。デビューCD『Mai favorite』が好評発売中。
使用楽器は1683年製のニコロ・アマティ。ミュンヘン在住。
(Official HP) https://maiviolin.com/