キングレコード移籍・新録音　「望郷のバラード」より10年
熱く、切なく、深く・・心に染み入る憂愁のメロディ

天満敦子がキング・レコードに移籍、その第一回の録音CDが送られて来た。彼女を聴くのは久しぶりだが、著しい成長ぶりには目を見張った。ずらりと並んだ10曲は天満の18番ばかり、ということはプログラムの新鮮味に欠けるわけだが、どの曲も始めて耳にするような初々しさで、手垢がついた感じがしない。これは大したことだと思う。　「望郷のバラード」は今回ピアノ伴奏のものと無伴奏と両方入っているが、冒頭のしみじみとした祈りの感情や終結部のはかなさは今までなかったものだ。いや、あったのかも知れないが、濃厚な天満節の影にかくれて見えなかったのかも知れない。それだけ肩の力が抜け、深みを増したということなのだろう。しかも全曲を流れる味の濃い節まわしは健在である。円熟の過程において生来の美点を失ってしまうケースも多いが、天満はその愚を犯していない。これまた特筆すべきことといえよう。

【DISC1　ＣＤアルバム】
1.望郷のバラード (ピアノ付)
2.シャコンヌ ト短調
3.愛の悲しみ
4.トロイメライ
5.棒踊り～ルーマニア民俗舞曲から
6.飾り帯の踊り～ルーマニア民俗舞曲から
7.足踏み踊り～ルーマニア民俗舞曲から
8.ブチュムの踊り～ルーマニア民俗舞曲から
9.ルーマニア風ポルカ～ルーマニア民俗舞曲から
10.速い踊り～ルーマニア民俗舞曲から
11.スペインのセレナード
12.アヴェ・マリア
13.アヴェ・マリア
14.ロマンス第2番 ヘ長調 作品50
15.望郷のバラード (無伴奏)