日本音楽界のリーダー・澤 和樹が送る至福のメロディ
今こそ聴きたい、祈りを込めた名曲の数々
●日本を代表するヴァイオリニストで、東京藝術大学長としても様々な発信を続けている澤 和樹。
●昨年9月には“苦境を乗り越える糧に”と自らが選曲した「ヴァイオリンでうたう日本のこころ」を発売。
各界から注目を集めました。
●本作は「ヴァイオリンでうたう日本のこころ」に続く第二弾。今回は「祈り」をテーマに、
澤 和樹の本領である西洋音楽を中心にセレクト。心安らぐ音色をお届けします。
<収録曲>
リード曲:M9「アヴェ・マリア」
1J.S.バッハ:シチリアーノ
2バッハ:G線上のアリア
3ヘンデル:祈り
4ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番 ハ短調「悲愴」より第2楽章
5シューベルト:アヴェ·マリア※
6ヴォーン=ウィリアムズ: グリーンスリーヴスによる幻想曲※
7バッハ=グノー:アヴェ·マリア※
8マスネ:タイスの瞑想曲
9マスカーニ:アヴェ·マリア※
10アイルランド民謡:ロンドンデリーの歌※
11ブロッホ:祈り
12ジョン·ウィリアムズ: シンドラーのリスト※
13メシアン:イエズスの不滅性への讃歌
14菅野よう子:花は咲く※
※2ヴァイオリン+ピアノ
演奏:澤 和樹(Vn)/澤 亜樹(Vn)/蓼沼恵美子(Pf)
録音:2021年12月7-9日
キング関口台スタジオ 第1スタジオ
澤 和樹 プロフィール
1979年、東京藝術大学大学院修了。「安宅賞」受賞。ロン=ティボー、ヴィエニアフスキ、ミュンヘンなどの国際コンクールに入賞。イザイ・メダル、ボルドー音楽祭金メダル受賞などヴァイオリニストとして国際的に活躍。’80年より文化庁在外研修員としてロンドンに派遣され、ジョージ・パウク、ベラ・カトーナ両氏に師事。’84年に東京藝大に迎えられるとともに本格的な演奏活動を開始。’89年には、文部省在外研究員としてロンドンの王立音楽院に派遣され、さらに研鑽を重ねた。この時期、アマデウス弦楽四重奏団メンバーとの出会いにより澤クヮルテットの結成を決意する。’96より指揮活動を開始。2003年、’04年には響ホール室内合奏団、’05年には東京弦楽合奏団を率いて英国各地で演奏し絶賛される。九州交響楽団、東京フィル、日本フィル、札幌交響楽団、紀尾井ホール室内管弦楽団等にも客演し好評を博す。2004年、和歌山県文化賞受賞。東京藝術大学音楽学部教授、音楽学部長を経て2016年より第10代東京藝術大学長。英国王立音楽院名誉教授。響ホール室内合奏団ミュージックアドヴァイザー。千里フィルハーモニア・大阪常任指揮者。
澤 亜樹(ヴァイオリン)
東京藝術大学附属音楽高等学校を経て、同大学首席卒業。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞受賞。同大学院在学中の2010年より2年間、文化庁新進芸術家海外研修員として、英国王立音楽院に留学し、最高位のDiploma of Royal Academy of Music(DipRAM)を得て首席卒業。学内にて、Wilfrid Parry Prize, Roth Prize, Regency Award等多数受賞。ロンドン交響楽団2010/2011シーズンString Experience Scheme研修生に選ばれる。2014年、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。第17回パリ国際バッハコンクール・ヴァイオリン部門で第2位受賞。藝大モーニングコンサートに出演、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。第36回藝大室内楽定期演奏会、第338回藝大定期「新卒業生紹介演奏会」に出演。また、ウクライナのキエフにて、ウクライナ国立フィルハーモニーと共演。2010年度青山音楽賞新人賞受賞。2012年松方ホール音楽賞受賞。2014年、東京文化会館にてデビューリサイタルを開催。現在、東京藝術大学音楽学部非常勤講師および藝大フィルハーモニア管弦楽団コンサートミストレス。
蓼沼 恵美子(ピアノ)
東京藝術大学附属音楽高校を経て、同大学首席卒業。「安宅賞」受賞。同大学院修了後、ロンドンにてマリア・クルチョ女史に師事。1983年、ミュンヘン国際コンクール、ヴァイオリン・ピアノ二重奏部門にてヴァイオリンの澤和樹とともに第3位入賞。1984年、東京にてソロデビューリサイタルを開催し、本格的な演奏活動を開始する。これまでに、国内外の著名アーティストとも多数共演、高い信頼を得ている。2004年には、妹、蓼沼明美とピアノデュオによるリサイタルを開催し、CD「姉妹デュオによる珠玉の連弾」をリリース。2011年、ヘンシェル弦楽四重奏団との共演によるCD「シューマン&ブラームス:ピアノ五重奏曲」は音楽誌上で高い評価を受ける。澤和樹とのデュオ活動は40年以上におよび、フィンランドのクフモ、サヴォンリンナ、イギリスの湖水地方、アメリカのボウドイン、アイルランドのウェスト・コークなど、国内外の音楽祭に招聘されるほか、NHK-FM、BBC等にも出演。2006年の「ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ全曲チクルス」は国内各地、イギリスでも成功を収めた。また、2014~15年の「シューベルト、シューマン、ブラームスをうたう」シリーズのライヴCDは、いずれも「レコード芸術」特選盤として紹介されている。2021年3月まで吉祥女子高等学校講師。現在、洗足学園音楽大学、桐朋学園芸術短期大学講師。
澤 和樹より
4歳の頃、母が読んでくれた絵本「三匹の子豚」で、楽しそうにヴァイオリンを弾く子豚を見たのが私とヴァイオリンとの出会いでした。ちょうどその頃、故郷和歌山のカトリック系幼稚園に通うことになった私は、意味も良く理解できないままに「天にましますわれらの父よ・・」「めでたし聖寵(せいちょう)充ち満てるマリア・・」などの祈祷文を覚え、天井が高くて素晴らしい響きの聖堂でオルガンや聖歌の合唱を聴きながら育ちました。私にとって「音楽」と「祈り」は切っても切れないものとなりました。聖歌を歌うシスターたちの中でも飛びぬけて美しい声の相川ノブ子先生は、幼稚園のクリスマス会で「きよしこの夜」やバッハ=グノーの「アヴェ・マリア」のピアノ伴奏でご指導いただき、音楽の母のような存在でした。自らの意思でカトリックの洗礼を受けた11歳の頃にはシューベルトの「アヴェ・マリア」で祈りの真髄とも言える「他人のために祈る」という事を教わった気がします。長引くコロナ禍にあって、世界中が祈りを求めていると感じます。今こそ音楽で「いのり」をお届けできれば幸いです。