23 West Bound

神保彰

KICJ-775
2018.01.01 RELEASE ジャズジャズ / KICJ-775 ¥3,000(tax out)

KING e-SHOP

<収録曲>
1.Mighty Moon(マイティー・ムーン)
2.Blue Mode(ブルー・モード)
3.Sky Walker(スカイ・ウォーカー)
4.West Bound(ウエスト・バウンド)
5.Okey Dokey(オキ・ドキ)
6.Tell Me Why(テル・ミー・ホワイ)
7.Go Cool(ゴー・クール)
8.West Of The Sun(ウエスト・オブ・ザ・サン)
9.Dream Walk(ドリーム・ウォーク)

All songs are produced, written, arranged & programmed by Akira Jimbo

<セルフライナーノーツ>
「23 West Bound」
ラテンアルバムのトラッキングを終え、ノースハリウッドのNRGスタジオへ移動。昨年のJBプロジェクトのレコーディングで初めて訪れ、レコーディングルームの響きの素晴らしさにすっかり魅了されてしまいました。エンジニアはブライアン・ブロンバーグご指名のトム・マッカーリー。繊細さと大胆さを併せ持つサウンドメイクに定評があります。ラッセルとは20年ぶり。人柄の良さは相変わらずです。ジミーは幅広い音楽シーンからひっぱりだこの大ベテラン。初対面でしたが、懐の深さを感じる落ち着いた話し振りに静かなエネルギーを感じました。ラッセルとジミーはイエロージャケッツで長く活動を共にしていましたが、プロデュース業が忙しくなったジミーが5年前に脱退。でも2人の息はバッチリです。初日に4曲、2日目に5曲。録音機材トラブルで冷やっとする場面もありましたが、目の覚めるようなサウンドに仕上がりました。

Mighty Moon(マイティー・ムーン)
まずは、ティム・ボーマンのジャジーなギターをフィーチャーしたファンクナンバー。デトロイトからこのレコーディングの為に飛んで来てくれました。譜面のイントロ部分にGuitar Cuttingと書いておいたのですが、ティムは何の事かわからずにネットで調べたそうです。カッティングは日本だけの音楽用語で、正しくはChucking チャッキングだそうです。毎度勉強になります。ギターはオーバーダビング(後かぶせ)ですが、ピアノとの掛け合い部分など、とてもいい感じに仕上がりました。

Blue Mode(ブルー・モード)
初日の1曲目にレコーディングしました。ジミーの深く沈み込むようなグルーヴ、ラッセルのブルージーなピアノ、初期イエロージャケッツを思い出します。ピアノブースでラッセルが満面の笑顔で演奏しているのがとても印象に残っています。

Sky Walker(スカイ・ウォーカー)
スターウォーズのルーク・スカイウォーカーから取ったのではありません。文字通り「空を歩く人」というイメージです。歩いてる感じ、出ていますでしょうか。ジミーは冗談で、ベースソロはダースベイダーみたいに弾かなければとベイダー声で「I am your father」とつぶやきました。

West Bound(ウエスト・バウンド)
ティム・ボーマンのギターをフィーチャーしたタイトルトラック。ティムは1959年生まれで僕と同い年。自分が58歳(レーコーディング時点)だなんて信じられないよな、というので、そうだね、でも心は昔と全然変わってないよね、と返すと、そうだそうだ、全然変わってない、昔のまんまだよ、といった「おっさん」の会話が交わされました。若い頃は「おっさん」には「おっさん」の心持ちがあるものだと思っていましたが、いざ自分が「おっさん」になってみると、なんだ昔と大してかわらないじゃん、と気づくことになります。Forever 21。曲の解説とは全然関係ない話でどうもすいません。バウンス(はねる)するファンキーなリズムが心地よいです。

Okey Dokey(オキ・ドキ)
OKが変形し、さて、という意味のスラングで、若い人は使いません。ですから、話の場繫ぎでオキドキというと、自ら「おっさん」ですと申告している事になるので要注意。ラッセルとジミーのファンキーな側面がとても良く出た仕上がりです。

Tell Me Why(テル・ミー・ホワイ)
唯一のバラード。僕にしては珍しいマイナー(短調)の曲です。素晴らしいオーケーテイクが出来ていたのに、最終日の最後にラッセルがもう一回やりたいといって録りなおししました。譜面ではピアノソロでフェードアウトと書いたのですが、美しいエンディングが自然に生まれました。

Go Cool(ゴー・クール)
ラッセルに、コード(和音)がユニークだと褒められた曲です。尊敬するピアニストに和声について褒められたのは意外でしたし、またとても嬉しくもありました。テンション(和音に色づけする音)には7度、9度、11度、13度等がありますが、音楽理論的には使っていはいけない10度の音が使われているのです。なにせ僕はドラマーなので、かっこよければいいじゃん、というのが基本姿勢です。

West Of The Sun(ウエスト・オブ・ザ・サン)
タイトルは、38年間愛読するHaruki Murakami作品からの引用です。デビュー作(風の歌を聴け)にすごく新しい風を感じ、新作が出るたびにリアルタイムで読んできました。引きつけられるポイントは、読み始めると、自分の今いるここではない場所に連れていかれる感覚、そして繰り返し何度も読み返したくなる感覚です。いまや毎年のようにノーベル文学賞受賞を噂される存在ですが、デビューから注目していた自分には先見の明があったのかなと思います。自画自賛。毎年のロスレコーデイングの自分用のお土産は村上さんの英訳本。今回は短編集Men Without Women(女のいない男たち)のハードカバーを買いました。これも曲解説とはあまり関係のない話でどうもすいません。シンプルなメロディーですが、ラッセルの解釈が素晴らしくて絶妙な仕上がりになりました。

Dream Walk(ドリーム・ウォーク)
ゆったりめのファンクビートが心地よいです。ジミーに教えてもらったのですが、オーストラリアの原住民アボリジニは、夜に瞑想状態で歩く習慣があり、それをドリームウォークと言うのだそうです。そういったイメージで作った曲ではないのですが、メロディーやベースラインに、どことなく催眠的な節回しがあるような気がします。催眠にかけられたように、また1曲目からリピートしてみて下さい。

神保 彰(2018吉日)